ボタン1つで印象が変わる!オーダースーツのボタンの選び方
スーツのボタンを意識して見ているという方、どれくらいいるでしょうか。大体のボタンが、生地になじむように選ばれているというのもあって、あまり視界には入ってこないものです。しかしスーツのボタンにこだわれば、印象の変わるスーツを手に入れることが可能です。この記事では、オーダースーツのボタンの選び方を解説します。
ボタンの種類
ボタンは、単に色や形だけが違うわけではありません。実は、ボタンの材質は多岐にわたっています。材質別に特徴をおさえていきましょう。
練りボタン
いわゆる合成樹脂のボタンで、最も一般的な材質と言えます。なぜよく使われているのかと言えば、費用も安く頑丈な材質だからです。色付けも加工もしやすいため、色や柄などたくさんの中から気に入ったものを選べます。
水牛ボタン
水牛の角や骨から取り出してできています。自然のものなので、ひとつとして同じ柄が出てこないことが特徴です。自分の個性を出したい方には、非常におすすめのボタンと言えるでしょう。重厚感があるため、高級なスーツに使われることが多い材質です。
貝ボタン
真珠を作り出す、白蝶貝や黒蝶貝から作られています。光が当たることで、輝き方が変わるのがこのボタンのおもしろいところです。上品な佇まいにしたい方にはぴったりのボタンですが、決して強くはない素材です。割れやすいので、クリーニングに出す際はボタンを保護しておくと安心です。
ナットボタン
ヤシの実から作られています。マットな仕上がりになっているので、スーツに付けるとカジュアルな雰囲気を生みやすいです。気を付ける点として、ヤシの実は長時間濡れた状態から急激に乾かすことがあると、ボタンの割れに繋がってしまいます。濡らしてしまった場合は、速めに乾かしましょう。
皮ボタン
皮でくるまれているボタンです。カントリーな見映えになるので、生地の色はベージュや茶色が、素材だとツイードがよく似合います。
メタルボタン
その名の通り、金属素材です。制服によく使われているボタンと言うと、イメージしやすいでしょうか。スーツに使うとブレザーのように見えてしまうため、合わせるのが難しいボタンでもあります。スーツ上級者の方は、ぜひチャレンジしてみてください。
ボタンの選び方
こんなにボタンの種類があると、なにを基準に選んだら良いものか、迷ってしまう方もいるかと思います。そんな方に推奨したいのは、そのスーツをどんな状況で着るか想定しておく、ということです。仕事で着るのか、プライベートで着るのか、それだけでも大きく違いが出ます。
例えば、カジュアルなボタンがついたスーツで、お葬式には行けないですよね。素材だけでなく、色も同様です。フォーマルな場所に行くなど、落ち着いた印象を持たせたい場合には、ボタンの色をあまり主張させない方が無難です。ダーク系の色にするか、スーツと同系色にまとめましょう。
反対に、ボタンを主張させてカジュアルさを出したい時におすすめなのは、ボタンの色を、靴や鞄と合わせることです。大仕事になりますが、全身のコーディネートを、スーツを作る前から考えておくと選びやすくなります。
素材・色に加えてもうひとつ重要なのは、ボタンの加工です。適した素材や色を選んだとしても、加工次第でまったく違う雰囲気に変わってしまうこともあります。
光沢が出るような加工がされていると、上品かつ華やかなイメージになります。ただこの加工、貝ボタンのところでご説明したとおり、日光の下で見るときらめき方が変化してきます。室内で見た時とは印象が異なることがありますので、どちらの環境でもチェックしてみてください。
反対に、艶消し加工がされているものだと、高級感が出せ、どっしり落ち着きのあるスーツになります。このような要領で、ボタンを決めていくのがおすすめです。
組み合わせ方の例
シーンに合わせてボタンを選ぶコツはお分かりいただけたかと思います。それでも自分のセンスが不安という方には、具体的な生地との合わせ方を挙げますので参考にしてみてください。
まずは定番の組み合わせで、紺色のストライプ生地に、黒い水牛ボタンです。どこか高級感がありながら、落ち着いていてオーソドックスなスーツに仕上がります。貝ボタンのように光沢があるものには、スーツでも光沢感を出すと上品で華やかにまとまります。紺地に紫色のチョークストライプが入った生地などが、まさに雰囲気ぴったりです。
カジュアルなボタンとして紹介したナットボタンは、生地と合わせて茶色にしておけば、主張をおさえてフォーマルさアップで着られます。反対に、このナットボタンを同系色から外すだけで、一気にカジュアルスーツに変身します。
これ以外にも、組み合わせの可能性は無限にあります。自由な発想で、楽しみながら選びましょう。
スーツのボタン選び、奥の深さが伝わったでしょうか。工夫次第でボタンを目立たせないことも、スーツの印象を大きく動かすこともできる、重要な素材です。細部までこだわって、自分の目的に合ったボタン選びができると良いですね。周りとは一線を画す、自分だけのスーツができるはずです。