スーツにアイロンはかけていいの?アイロンがけの注意点とは
ビジネスカジュアルが多くの企業で取り入れられるようになり、職場での服装は昔と比べれば自由になってきています。しかし、今でもスーツを着用しているビジネスマンは多いでしょう。そんな皆さんは、日々のスーツのお手入れをどうされていますか?今回は、スーツのアイロンがけをテーマにその注意点や失敗への対処法などをお伝えします。
縫い目やラインに沿ってやさしくかけるのがポイント!
スーツに使われている素材はとても繊細で、上手に扱わないとすぐに傷んでしまいます。ダメにしたくないからと、自宅でスーツにアイロンをかけるのに抵抗がある人もいらっしゃるでしょう。確かに、高温で繊維を伸ばすため、生地がダメになってしまう可能性があることは間違いないです。
しかし、正しい方法を知ってさえいれば、アイロンがけの失敗は回避できます。ポイントは、縫い目やラインに沿ってやさしく丁寧にアイロンを滑らせることです。そうすれば、繊維が無駄な摩擦や圧着を起こさずに、パリッとした仕上がりにすることができます。
アイロンのかけ方
次は、具体的なアイロンのかけ方について解説していきたいと思います。ここでは、最初に基本的なアイロンがけの動作を紹介した後、ジャケットとスラックスのパーツに分けて説明をしてきます。
アイロンがけの基本動作は3つ
アイロンがけは、「スチームをあてる」、「アイロンを滑らせる」、「アイロンを押し当てる」の3つの動作を組み合わせて行います。それぞれの役割を簡単にまとめると、次のようになります。
1.スチームをあてる:繊維のキューティクルを開かせ、ふんわりとした質感を取り戻してくれます。また蒸気でスーツにしみ込んだ汗や匂いを飛ばす効果もあります。アイロンをスーツから1㎝ほど離し、まんべんなく蒸気が行き渡るようにするのがコツです。
2.アイロンを滑らせる:スチームによって繊維の状態を整えた後、しわを伸ばすための工程です。この際は、必ずハンカチやタオルなどの綿製の当て布を使いましょう。また、消えないしわを伸ばそうとゴシゴシ力を入れすぎると、かえって別のしわを作ってしまいます。衣類の上をやさしくなでるイメージでアイロンを滑らせましょう。
3.アイロンを押し当てる:しわがなくなった衣類に折り目をつけるための作業です。このときも強く押し当てすぎると、傷みやテカリの原因になるので軽い力で行ってください。
ジャケットにアイロンをかける方法
ジャケットでは、次の4つのパーツごとにかけていくのがおすすめです。
1.肩から袖口にかけて:アイロン台にジャケットをかけるように置き、肩から袖方向へやさしくアイロンを滑らせます。このとき、肩のラインを崩さないように、アイロンを持っていない手でしわを伸ばしながら行うと、きれいな仕上がりとなります。
2.前身頃:生地の流れに沿って、全体的に軽くかけていきましょう。脇のあたりで生地が変わるタイプのものでは、途中でジャケットをずらして脇の生地に合わせてアイロンをかけます。
3.襟:まずは襟を裏返し、丸く縫い付けられた部分を手で伸ばしながら少しずつしわを伸ばしていきます。裏が終わったら熱いうちに折り返し、形を整えながら表側も同じようにアイロンがけします。
4.背中:アイロン台にかけるようにして置き、背中の中央から外側へ、上から下へ弧を描くように動かします。一度にかける範囲が広く、ゆっくり動かさないとしわができやすいので注意しましょう。
スラックスにアイロンをかける方法
次にスラックスのかけ方です。
1.腰回り:裏地から始めて、腰回りを1周するようにかけていきます。表地の際は、前側と後ろ側を同時にアイロンしてしまわないように、アイロン台にスラックスを履かせるようにして行います。
2.膝:左右片方ずつアイロン台に乗せて、たっぷりスチームを使いながらかけていきます。この部分はしわやたるみが一番目立つ場所でもあるので、折り目を意識しながら丁寧に押し当てていきましょう。
3.裾:内側からアイロンがけを始め、そのあとで股下までプレスします。細い部分なので、スラックスが動かないようにしっかりと押さえておきましょう。
4.折り目付け:仕上げに全体の折り目付けをもう一度行います。やりすぎには注意ですが、これをすることで全体がピシッと締まった見た目になります。
アイロンがけに失敗したら…?
最後にアイロンがけの失敗例とそのリカバリー方法をお伝えします。よくある失敗例としてはテカリでしょう。丁寧なアイロンがけを意識しすぎた結果、生地がテカテカになってしまった経験が多くの人にあるのではないでしょうか。
テカリの原因
テカリの原因は、繊維の圧着と摩擦です。繊維に強い力や擦れなどが発生すると、表面の凸凹がなくなってテカリに繋がります。スーツのような繊細な素材のものは、アイロンの熱が強すぎたり、表面を滑らせすぎたり、強い力で押し付けすぎるとすぐにテカリが出てしまうものです。
また、アイロン以外でも毎日のように長時間の着用を繰り返すなど、繊維が酷使されてもテカリは現れてしまいます。
テカリの対処法
アイロンがけでテカリが出てしまったときは、しばらくスチームを当ててみましょう。そうすることでつぶれてしまった繊維が起き上がって、再びふわっとした状態に戻ります。
スチームだけでは上手く直らないときは、水に少量のアンモニアを混ぜたスプレーをかけると効果的です。アンモニアには繊維を膨張させる働きがあるため、繊維が起き上がりやすくなります。
スーツのアイロンがけについてお伝えしました。普段からアイロンを使い慣れている人にとっては、他の衣類の時とそれほど違いはないと感じたのではないでしょうか。テカリやしわは生じやすいですが、スチームで繊維を立たせることや、当て布で生地を守ることを徹底すれば思った以上にきれいな仕上がりになるはずです。ぜひ今回の内容を活かして、まずは一着アイロンがけをしてみてはいかがでしょうか。