スーツは、フォーマルな場で着用することを前提に製作されたものです。シワがないスーツと着古した印象のあるスーツでは見る人の印象が異なることは明らかですが、着ているスーツの色によっても相手が抱く印象が異なることをご存知でしょうか？そこで今回は、意外と知られていないスーツの色が相手に与える印象について紹介しましょう。

定番のネイビー

紳士服店でも多く見かけるように、オーソドックスで使い勝手がよいスーツの色はネイビーです。時と場合を選ばず、さまざまなシチュエーションにマッチするネイビーは、多くのショップで取り扱われています。ネイビーは誠実さ、真面目さなどの落ち着いた雰囲気をかもし出し、見る人に知的な印象を与える色です。

ビジネスシーンでは初対面の相手に会う時にも好印象を与えやすく、スーツを選択するときに基本となる色といえます。ネイビーの中にも種類があり、青みと明度が強いブライトネイビーは、近年になって若い人を中心に注目されているカラーです。エネルギッシュで若々しい雰囲気が出るため、新人のビジネスマンに好まれやすい傾向にあるといえるでしょう。一方、スーツの定番ともいえるダークネイビーは真面目さを演出でき、年齢を問わず着用できるカラーです。

ネイビーはオーソドックスな色で、相手の印象に残りにくい部分があるといわれています。しかし、営業職などで相手に違和感なく存在感をアピールしたい場合は、黄色やオレンジなどネクタイの色で個性を出すのがおすすめです。ネイビーはさまざまな色と相性がよいため、目的や流行に合わせたアレンジやスタイリングが可能であり、使い勝手がよい色といえるでしょう。

使いやすいグレー

オーソドックスなネイビーに続いて、着用しやすいおすすめのスーツの色がグレーです。グレーの中には、チャコールグレーとライトグレーの2種類あります。チャコールグレーは黒に近い濃いグレーのことで、季節を選ばずに着られてコーディネートしやすいカラーです。チャコールグレーは落ち着いた雰囲気を感じさせる色なので、若い男性が着たときなどには実年齢よりも少し上に見せるような効果が期待できます。

また、ストライプやチェックなどの柄と相性がよいため、落ち着いた雰囲気の中でもおしゃれを楽しみたい時は、チャコールグレーのストライプやチェック柄のスーツを着用すると、大人っぽくクラシカルに決めることができるのでおすすめです。

ライトグレーは、春や夏のように気温が高い時期に着られることが多い、明るいグレーを指します。チャコールグレーに比べてカジュアルな印象になり、洗練された印象を与えるカラーです。ダークカラーのスーツを着用している人が多いため、明るい色合いのスーツは印象に残りやすく、スマートで仕事ができる雰囲気を演出できるのがメリットです。ビジネスシーンでアピールをしたり注目を集めたりしたい場合は、検討したいカラーといえるでしょう。

ビジネスでも着る人が増えているブラック

冠婚葬祭のために考案されたブラックのスーツですが、日本ではビジネスシーンでも着用することが可能です。欧米ではビジネスマンがブラックのスーツを着用している姿を見かけることはあまりありませんが、日本ではリクルートスーツにブラックが採用されてから、一般的な色として認識されるようになりました。ビジネスシーンにおいては、セレモニーなどで着られる艶や光沢感の強い素材は避けるとともに、喪服として使われるまったく光沢のない漆黒と呼ばれる濃いブラックも避けるようにしましょう。

ビジネスシーンでブラックのスーツを着用する場合は、派手さをおさえながらもさりげないおしゃれを実現してくれる、シャドーストライプやチェック柄を選ぶのがおすすめです。近付いた相手にブラックが持つ引き締まった上品な印象を与えるとともに、威圧的にならないカジュアルさやさりげないセンスを見せられるでしょう。

また、無地のブラックを選ぶ時はトータルバランスが暗くなりすぎないように、胸元に明るさを引き出せるネクタイを締めると、洗練された雰囲気になります。合わせるシューズは、スーツから浮かないように同じブラックを選ぶのが無難といえるでしょう。ただし、ブラックのスーツは冠婚葬祭用に考案された色であるため、コーディネートを誤ると場違いになってしまいます。カジュアルなシーンであれば、黒のスーツに黒のシャツを合わせて全身を黒で統一することで、見る人にファッショナブルな印象を与えられるでしょう。

しかし、ビジネスシーンにおいて、黒のスーツに黒のジャケットを合わせるのはふさわしくありません。このように、ブラックは着用する場がどの程度フォーマルであるのかを見極めることが重要な色といえます。

今回は意外と知らないスーツの色が与える印象について紹介しました。ネイビーは、オーソドックスで誠実な印象を与えられ、グレーは色の濃さによって落ち着きや洗練された印象を与えることができます。ブラックはシーンによって使い分けることで、引き締まった上品な印象を与えることができそうです。色が相手に与える印象を理解することで、スーツの着こなしの幅が広がるでしょう。

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